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AI要約が出ると検索クリックは8%に。Pewの実測とGoogleの反論を読み解く。

AI要約が出ると検索クリックは8%に。Pewの実測とGoogleの反論を読み解く。

ここ1年ほど、「検索結果の上にAIの要約が出るようになってから、サイトへの流入が減った気がする」という相談が増えています。実際に何が起きているのか。米国では、利用者の行動を実測した調査と、Googleによる正面からの反論が出そろい、議論が続いています。本稿では、Pew Research Centerの実測データとBainの消費者調査、そしてGoogle公式の反論を同じ重みで並べたうえで、日本のBtoB企業が自社サイトへの影響をどう確かめ、経営層や上長への報告と打ち手をどう組み立てるかを整理します。

Pewの実測調査が示した数字

まず、議論の起点になっているデータです。米国の調査機関Pew Research Centerは、米国成人900名のブラウジングデータをもとに、2025年3月の1か月間に行われた68,879件のGoogle検索を分析しました。検索後に「何と答えたか」を聞くアンケートではなく、実際の閲覧行動を追った実測調査です。

主な結果は次のとおりです。

  • 分析対象の検索のうち、AI要約(AI Overviews)が表示されたのは約18%
  • AI要約が表示された検索で、利用者が従来の検索結果リンクをクリックした割合は8%。表示されなかった検索では15%
  • AI要約が表示されたページでは、26%の利用者がそのままセッションを終了。表示されなかった場合は16%
  • AI要約の中に示された出典リンクをクリックした割合は、わずか1%

「クリック率が15%から8%へ、ほぼ半分に下がる」という見出しで広く報じられたのはこの調査です。ただし注意点が2つあります。第一に、これは2025年3月時点のスナップショットであり、AI要約の表示頻度も利用者の挙動も現在進行形で変化し続けています。第二に、対象は米国の一般消費者の検索全般であり、BtoBの業務検索を切り出した調査ではありません。(参照:Pew Research Center「Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results」(2025)

Bainの消費者調査と「ゼロクリック」の広がり

コンサルティング会社のBainも、2024年12月に消費者1,117名を対象とした調査(Bain-Dynata調査)を公表しています。こちらは行動の実測ではなく意識調査ですが、約80%の消費者が検索の40%以上で「ゼロクリック」、つまり検索結果ページ上の情報だけで用を済ませており、約60%の検索が他サイトへの遷移なしに終わっていると報告しました。同社はこの傾向から、オーガニック流入(検索経由の自然流入)は15〜25%減少しうるという見立てを示しています。(参照:Bain「Goodbye Clicks, Hello AI: Zero-Click Search Redefines Marketing」(2025)

PewとBainは手法も対象も異なりますが、「検索結果の画面内で完結する行動が増えている」という方向では一致しています。

Googleの反論。流入は安定し、クリックの質は上がっている

一方で、この見方にはGoogle自身が公式に反論しています。Google検索責任者のLiz Reid氏は2025年8月6日の公式ブログで、次のように主張しました。

  • Google検索からウェブサイトへの総オーガニッククリック数は、前年比でおおむね安定している
  • クリックの平均的な質はむしろ向上しており、質の高いクリックは1年前よりわずかに増えている
  • 劇的なトラフィック減少を示唆する第三者の報告は、欠陥のある手法に基づくことが多く不正確である
  • AI要約によって人々はより多く検索し、より長く複雑な質問をするようになった

つまりGoogleの立場は「検索全体のパイは広がっており、サイトへの送客は減っていない」というものです。PewやBainの数字だけを引いて「SEOは終わった」と結論づけるのは、この反論を無視した片面の議論になります。(参照:Google「AI in Search is driving more queries and higher quality clicks」(2025)

公平に見れば、どちらの言い分にも限界があります。Pewは1か月間の米国消費者データであり、Googleは検索広告とエコシステムの維持に利害を持つ当事者で、主張の裏づけとなる内部データを公開していません。第三者の実測では「AI要約が出た検索ではクリックが下がる」傾向が観察され、Googleは「総量としては安定」と述べている。両者は矛盾しているとは限らず、「個々の検索ではクリックされにくくなったが、検索回数自体が増えて総量は保たれている」という解釈も成り立ちます。確かなのは、検索からの流入構造が変化の途中にあるという一点です。

日本のBtoBにそのまま当てはめてよいか

ここからは日本での読み方です。AI要約(AIによる概要)の日本語での提供は2024年8月に始まっており、日本の検索結果でも表示は日常になりつつあります。ただし、Pewの18%という出現率や8%というクリック率が日本でも同じである保証はありません。出現率は言語・地域・検索の種類で異なり、日本での影響度を実測した同規模の公開調査はまだ見当たらないためです。(参照:Google「生成 AI による検索体験「AI による概要」の提供を開始します」(2024)

もう1つ、BtoBへの外挿も「示唆」にとどめるべきです。PewもBainも消費者の検索行動の調査です。一方でPewの調査では、10語以上の長い検索では53%、質問形式の検索では60%にAI要約が表示されたと報告されています。BtoBの情報収集で打たれる「営業 属人化 解消 方法」のような課題語の検索は、まさに要約が出やすい長めの検索に近い。影響が消費者向けより小さいと楽観できる材料はない、というのが現時点での妥当な読み方だと私たちは考えています。

流入減を「施策の失敗」として報告しないために

Respectifyの実務視点で最初にお伝えしたいのは、報告の組み立て方です。オーガニック流入が前年比で落ちたとき、その数字だけが親会社や経営層に渡ると「コンテンツ施策の失敗」と解釈され、予算ごと削られかねません。しかし上で見たとおり、流入の減少には検索結果の構造変化という外部要因が含まれており、担当者の力量だけの問題ではありません。

そこで報告には2つの手を打ちます。第一に、構造変化を出典つきで一枚添えることです。Pewの実測とGoogleの反論を両論併記で示せば、「業界全体で起きている変化であり、当社も影響の確認と対応を進めている」という説明になります。第二に、報告の主役を流入数単体から「検索経由で生まれた問い合わせ・商談数」に移すことです。AI要約の時代には、要約を読んで納得した人だけがクリックしてくる分、訪問あたりの質が上がる可能性があります(Googleの「質の高いクリック」という主張と同じ方向です)。流入が1割減っても商談化が維持できていれば、それは報告すべき成果です。

自社への影響を確かめる手順と、次の打ち手

少人数のマーケティング担当が自社で今週できることを、手順で示します。

1. Search Consoleで表示回数とCTRを分けて見る: 過去16か月の推移で、表示回数が維持されたままCTR(クリック率)だけが下がっているクエリ群を探します。これがAI要約の影響が疑われる典型的なパターンです。 2. 指名検索とノンブランド検索を切り分ける: 社名・サービス名での検索(指名)はAI要約の影響を受けにくいため、混ぜると変化が薄まります。ノンブランドの課題語クエリだけでCTR推移を見ます。 3. GA4で「流入からの転換」を固定で追う: オーガニック流入のセッション数だけでなく、そこからのフォーム送信・資料請求への転換数を月次で記録します。前述の報告指標の組み替えにそのまま使えます。

打ち手は2方向です。1つは「引用される側」に回るコンテンツ設計です。AI要約は出典を引いて生成されるため、一次データ・具体的な手順・明確な定義を持つページは引用されやすく、要約経由のわずかなクリック(Pewの実測では1%)も、社名の露出も取りにいけます。逆に、どこにでもある一般論の記事は要約に吸収されて終わります。引用されやすいページをサイトに組み込む設計は、引用されるコンテンツ設計を含むサイト構築で扱う領域です。もう1つは、検索一本足からの分散です。一度獲得した連絡先をメールとCRM(顧客管理システム)でのナーチャリング(継続的な関係構築)につなぎ、検索アルゴリズムの変化に売上が直撃されない構造を作ります。流入から商談までを一本の数字で追える計測設計と、検索以外の流入経路も含めたリード獲得は、リード獲得から育成までの支援で私たちが最初に着手する領域です。

まとめ

  • Pewの実測調査(米国成人900名・68,879検索・2025年3月)では、AI要約が表示された検索のリンククリックは8%で、表示されない場合の15%からほぼ半減。要約内の出典クリックは1%でした。
  • Bainの2024年12月の消費者調査でも、約60%の検索が他サイトへの遷移なしに終わると報告され、方向は一致しています。
  • 一方Googleは2025年8月、総オーガニッククリックは前年比で安定し質はむしろ向上していると公式に反論しており、「SEOは終わった」と結論づけられる段階ではありません。
  • いずれも米国・消費者対象の調査であり、日本のBtoBへの適用は示唆にとどめるべきです。ただし長い課題語検索ほど要約が出やすいという実測は、BtoBにとって楽観材料ではありません。
  • 自社での確認は、ノンブランドクエリのCTR推移と、流入から商談への転換数の固定観測から。報告は流入数単体でなく商談接続まで含めた指標に組み替えることをおすすめします。

検索流入の変化は止められませんが、影響を測れない状態は今日から解消できます。まずはSearch Consoleを開いて、自社の数字で確かめるところから始めてみてください。手順や報告の組み立てに迷う場合は、無料相談からお声がけください。

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