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97%に戦略はあるのに、成果を実感するのは12%。コンテンツマーケ計測の壁。

97%に戦略はあるのに、成果を実感するのは12%。コンテンツマーケ計測の壁。

「コンテンツマーケティングの戦略はありますか」と聞かれて、「ありません」と答えるマーケターはほとんどいません。実際、Content Marketing Institute(CMI。米国の老舗コンテンツマーケティング研究機関)の最新調査では、97%が「戦略がある」と回答しています。ところが、過去12か月の取り組みを「目標を超えた」と自己評価できたのは、わずか12%でした。戦略の有無と成果の実感の間には、85ポイントもの開きがあります。本稿では、この開きがどこで生まれるのかを調査データで確認し、「戦略はあるのに、成果を数字で説明できない」状態から抜け出すための計測設計を、少人数チームでも実行できる粒度で整理します。

97%と12%。第16回CMI調査が示す開き

まず調査の概要です。CMIがMarketingProfsと共同で毎年実施している「B2B Content and Marketing Trends」の2026年版は、2025年6月から8月にかけて実施され、1,015名のB2Bマーケターの回答に基づきます。第16回を数える定点調査ですが、回答者は北米中心で、すべて自己申告ベースである点は読む際の前提として押さえておく必要があります。(参照:CMI「B2B Content and Marketing Trends 2026」(2025)

注目したいのは、次の2つの数字の対比です。

  • 97%が「コンテンツ戦略がある」と回答。ただしこの設問は文書化されているかどうかを問わないため、頭の中にある方針も「戦略あり」に含まれます。
  • 過去12か月の自己評価で「非常に効果的だった(目標を超過した)」と答えたのは12%。「ある程度効果的(おおむね目標を達成)」の47%を足しても、約4割は目標に届いていない計算になります。

つまり「戦略を持つこと」自体はもはや当たり前で、何の差別化にもなっていません。差がつくのはその先、戦略を成果に変え、成果を数字で示せるかどうかの段階です。CMIの年次調査は、この成果側の指標を毎年同じ枠組みで追っており、自社の立ち位置を相対化する物差しとして使えます。(参照:CMI「Content Marketing Research」年次調査ハブ

上位の課題に並ぶ「計測」。実は他の課題の土台でもある

では、何が成果を妨げているのか。同調査が挙げる課題の上位3つは次の通りです(自己申告・複数回答)。

1. 読み手に望ましい行動を促すコンテンツが作れない(40%) 2. リソース(人員・時間)の制約(39%) 3. コンテンツ効果の測定(33%)

計測は3番目ですが、私たちはこれを「3つの中で最初に手を付けるべき課題」だと考えています。理由は単純で、上の2つは計測なしには解決の判断ができないからです。どのコンテンツが行動(問い合わせ・資料請求・商談)につながったか分からなければ、「行動を促すコンテンツ」の改善は当てずっぽうになります。限られたリソースをどの施策に寄せるかも、施策ごとの成果が測れて初めて決められます。33%のマーケターが計測に苦戦しているという事実は、残る2つの課題が解けない理由の説明にもなっているわけです。

「戦略はある」のに数字で報告できない構造

ここからはRespectifyの実務視点です。「97%が戦略あり、成果実感は12%」という開きを、私たちは戦略の質の問題というより、戦略と数字が接続されていない構造の問題として捉えています。

典型的な経緯はこうです。年度初めに「コンテンツで認知を広げ、リードを獲得する」という方針が立つ。記事やホワイトペーパーの制作が走り出す。ところが追っている指標はPV、セッション、SNSのフォロワー数まで。その先の「コンテンツ経由のリードが何件、そのうち商談になったのが何件」というデータがどこにも残っていない。期末に経営層や親会社から「で、売上にどうつながったのか」と問われた瞬間、戦略文書はあるのに報告できる数字がない、という事態が露呈します。

これは従業員150名規模のグループ会社でも、マーケ担当1〜2名の中堅企業でも同じ構造で起きます。前者では親会社への月次報告が、後者では上長への予算交渉が詰まる場面が違うだけです。CMIの調査で12%しか目標超過を実感できていない背景には、「成果が出ていない」ケースだけでなく、「成果が出ているかどうかを判定する仕組みがそもそもない」ケースが相当数含まれていると見るのが実務感覚に合います。

AIツールに45%、人材に9%。投資の偏りをどう読むか

この構造を踏まえると、同調査のAI関連の数字も違って見えてきます。95%が「組織としてAI搭載アプリケーションを利用している」と答える一方、AI活用の成熟度を自己評価させると「探索段階」が20%、「発展途上」が48%。合計68%が初期段階にとどまるという結果です(確立24%・上級5%・先進3%)。利用率の高さと成熟度の低さが同居しており、この「導入と成果のギャップ」の構図は、別稿「AIを使う企業は88%、成果が出るのは6%。McKinsey調査で読む分かれ目」で扱ったMcKinsey調査とも一致します。

さらに示唆的なのが投資先の偏りです。「2026年に投資を増やす領域」としてAI搭載マーケティングツールを選んだのは45%で最多。一方、人材(給与・研修・育成)を選んだのは9%で最下位でした。これは予算の45%をAIに割くという意味ではなく、あくまで「増やす領域」としての選択率ですが、それでも傾向ははっきりしています。ツールには投資するが、それを使いこなす人と運用には投資しない。成熟度68%が初期段階という現実と並べると、この配分のまま成果が出るとは考えにくいのが正直なところです。AI関連の稟議や予算組みでは、ツール費と同じ行に「定着までの運用工数」を積んでおくことを勧めます。(参照:eMarketer「B2B marketers are prioritizing AI tools for 2026」(2025)

計測の壁を越える最小限の設計手順

最後に、33%が苦戦する計測をどう立ち上げるか。大がかりな基盤構築は不要で、要点は「コンテンツからコンバージョン(CV)まで追える導線を1本通す」ことに尽きます。手順は次の通りです。

1. CVの定義を1つに固定する: 問い合わせ、資料請求、無料相談など、営業に渡せる行動を「このフォームの送信」という具体レベルで決めます。定義が揺れると時系列比較ができなくなるため、最初に固定するのがポイントです。 2. 流入元をパラメータで記録する: メルマガ・広告・SNSからのリンクにUTMパラメータ(流入元を識別するURLの目印)を付け、どの経路の訪問かを必ず取得します。 3. フォーム送信時にリードソースを残す: CV した人が「どの記事・どの経路から来たか」をCRM(顧客管理システム)やスプレッドシートのリード情報に紐づけて保存します。ここが切れていると、後からは復元できません。 4. 商談化・受注まで追いかける: リードのその後(商談になったか、受注したか)を月次で突き合わせます。営業側の記録と接続できれば理想ですが、最初は手動の突合でも構いません。 5. 報告の数字を3つに絞る: コンテンツ経由のリード数、そのうちの商談化数、できれば受注数。PVは補助指標に格下げし、この3つを毎月同じ形式で報告します。

この導線が1本通るだけで、「どのコンテンツが行動を促せているか」「リソースをどこに寄せるか」という上位2つの課題にも、データで答えられるようになります。逆算すると、戦略文書の出来栄えよりも先に整えるべきはこの計測の配管です。広告・コンテンツ・CV導線をまたいだ計測設計の組み立ては、コンテンツから商談までの計測を含むリード獲得・育成の支援の中心領域として扱っています。そもそもサイトやLP側にCVまで追える導線が組み込まれていない場合は、CVまで追えるサイト・コンテンツの構築から見直すのが近道です。自社だけで設計しきれない場合は参照してください。

まとめ

  • CMIの第16回B2B調査(n=1,015・北米中心・自己申告)では、97%が「コンテンツ戦略がある」と回答する一方、過去12か月を「目標超過」と自己評価したのは12%でした。なお97%の設問は文書化の有無を問いません。
  • 課題の上位は「行動を促すコンテンツ」40%、「リソース制約」39%、「効果測定」33%。計測は3番目ですが、上の2つを解くための土台でもあります。
  • 95%が組織としてAIアプリを利用する一方、成熟度は探索20%と発展途上48%を合わせた68%が初期段階。投資を増やす領域はAIツール45%に対し人材9%と偏っており、ツール費に運用定着の工数を添えて計画する必要があります。
  • 計測の立ち上げは、CV定義の固定、流入元の記録、リードソースの保存、商談化までの突合、報告指標3つへの絞り込み、という1本の導線づくりで十分始められます。

「戦略はあるのに数字で説明できない」状態に心当たりがあれば、無料相談で現状の計測の配管を一緒に点検するところから始められます。

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