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HubSpotワークフローの作り方、最初の1本でつまずかない基本手順。

HubSpotワークフローの作り方、最初の1本でつまずかない基本手順。

HubSpotを導入したものの、ワークフロー(自動化の設定機能)の画面を開いたところで手が止まってしまう、という声をよく伺います。テンプレートの一覧を眺めても、自社で何を選べばよいのか判断がつかず、結局1本も作らないまま数か月が経つ。本稿の趣旨はシンプルで、最初の1本を作りきるための「概念」と「操作手順」だけに絞って整理することです。組む順番をどう設計するかという戦略論は別稿「自動化は順番が9割。HubSpotワークフローで最初に組む3本」で扱っており、本稿はその手前、初めてワークフローに触れる方が迷わず1本目を完成させるための入門ガイドという位置づけです。なお、画面名や仕様はHubSpot側で随時更新されます。本稿は2026年6月時点の公式ナレッジベースを参照しており、最新仕様は必ず公式ドキュメントでご確認ください。

HubSpotワークフローとは何か、90秒で理解する

ワークフローとは、登録条件に合致したレコードに対して、設定したアクションを自動で実行する仕組みです。具体的には、たとえば「特定のフォームを送信した連絡先」という条件に合致した人に対して、「担当者へ通知を飛ばし、フォローのタスクを立てる」といったアクションを自動的に走らせます。手動のメール送信や転記作業をなくし、抜け漏れを構造的に防ぐための機能だと捉えると分かりやすいです。

利用にはHubSpotの各Hub(Marketing/Sales/Service/Data)のProfessional以上の契約が必要で、Starterプランではワークフローの作成自体ができません(参照:HubSpot KB「Workflows FAQ」(2026)、ベンダー出典・確認日2026年6月時点・最新は公式要確認)。契約プランの確認は、最初に必ず行ってください。Starter契約の方は、まずプランのアップグレード可否を社内で確認するところから始まります。

ワークフローには連絡先(Contact)、会社(Company)、取引(Deal)、チケットなど複数のオブジェクトタイプを起点にできますが、本稿は最も利用頻度の高い連絡先(Contact-based)ワークフローを前提に解説します。他のオブジェクトタイプでも、基本構造は同じです。

ワークフローを構成する3つの要素

ワークフローを理解する近道は、「トリガー」「アクション」「分岐」という3つの構成要素に分けて捉えることです。この3つの役割が頭に入っていれば、画面上の選択肢が多くても迷いません。

トリガー(登録条件)

トリガーは、どのレコードをワークフローに乗せるかを決める入口です。HubSpot公式の分類では、トリガーは4種類あります(参照:HubSpot KB「Create workflows」(2026)、ベンダー出典・確認日2026年6月時点・最新は公式要確認)。

  • フィルター(filter)トリガー: プロパティの値や活動履歴で絞り込む条件。既存のレコードでも条件に合致すれば登録される。
  • イベント(event)トリガー: フォーム送信やメール開封など、特定のイベントが発生したときに登録される。
  • スケジュール(schedule)トリガー: 指定した日時に定期的に登録を発火させる。
  • Webhookトリガー: 外部システムからのWebhook受信で登録される(Data Hub Professional以上)。

注意したいのは、イベントトリガーは「ワークフローをONにした後」に発生したイベントにしか反応しないという点です(参照:HubSpot KB「Set event enrollment triggers」(2026)、ベンダー出典・確認日2026年6月時点・最新は公式要確認)。ONより前に同じイベントが起きていたレコードは登録されません。複数のイベントトリガーを並べた場合、判定はOR条件です(いずれかひとつでも当てはまれば登録)。

アクション(やること)

アクションは、登録されたレコードに何をするかの本体です。HubSpotは10カテゴリのアクションを提供しており、メール送信などのコミュニケーション系、プロパティ更新やレコード作成などのCRM系、待機(delay)、分岐、AI関連、マーケティング、データ操作、外部アプリ連携など多岐にわたります(参照:HubSpot KB「Choose your workflow actions」(2026)、ベンダー出典・確認日2026年6月時点・最新は公式要確認)。

最初に覚えるのは4つだけで十分です。

  • メール送信(マーケティングメールまたは1対1の自動メール)
  • プロパティ更新(ライフサイクルステージや任意プロパティを書き換える)
  • タスク作成(担当者にフォロータスクを残す)
  • 内部通知(社内のSlackや担当者メールにアラートを飛ばす)

この4つでほとんどの初期ニーズはカバーできます。残りのカテゴリは、必要になった段階で追加で学べば間に合います。

分岐(if/then)

分岐は、条件によってその後のアクションを枝分かれさせる仕組みです。HubSpotではif/thenブランチと呼ばれ、AND/OR条件を組み合わせて、最大20分岐まで設定できます(参照:HubSpot KB「Use if/then branches in workflows」(2026)、ベンダー出典・確認日2026年6月時点・最新は公式要確認)。

分岐で必ず押さえておきたい挙動が2つあります。ひとつは、分岐は上から順次評価され、最初に合致した分岐に入った時点で他の分岐は判定されないこと。もうひとつは、分岐の直前に5分のディレイ(待機)を入れることが公式に推奨されている点です。これは、トリガーが発火した直後はプロパティ更新の反映が間に合わないことがあるためで、5分の余裕を取ると分岐の誤判定が大きく減ります。

作り方の基本手順(公式7ステップ)

実際の作成は、HubSpot公式が示す7ステップに沿って進めるのが最も確実です(参照:HubSpot KB「Create workflows」(2026)、ベンダー出典・確認日2026年6月時点・最新は公式要確認)。画面名や配置は更新されることがあるため、迷ったら同KBで現状の名称を確認してください。

  1. メニューを開く: 左メニューの「Automation」から「Workflows」に入り、右上の「Create workflow」をクリックします。
  2. オブジェクトタイプを選ぶ: 連絡先・会社・取引・チケットなどから、起点となるオブジェクトを選びます。本稿の前提は連絡先(Contact-based)です。
  3. 登録トリガーを設定する: 前述の4種類から選び、条件を入れます。「特定のフォーム送信」など、最初はイベントトリガー1つから始めるのが分かりやすいです。
  4. 再登録の挙動を決める: 一度登録された連絡先が、同じ条件を再び満たしたときに再登録するかを設定します。既定はオフです。問い合わせ通知のように毎回反応させたい場合はオンにします。
  5. アクションを追加する: 最初は3〜5個に留めます。最初のワークフローでアクションを10個も20個も並べると、どこで詰まったか追えなくなります。
  6. 設定を確認する: 実行する曜日や時間帯(営業時間内に限定するか)、関連レコードへの作用、通知先のユーザーなどを画面右の設定で点検します。
  7. レビューしてONにする: 右上の「Review and publish」で全体を見直し、ONに切り替えます。

7ステップそのものより、各ステップで「自分は今、トリガー/アクション/分岐のどれを設定しているのか」を意識することが大切です。3要素の地図が頭にあれば、画面が変わっても迷いません。

初めてのときによくあるつまずき

最初の1本でほぼ全員が同じ場所でつまずきます。あらかじめ知っておくと、無用な事故を避けられます。

  • 既存レコードが一気に全員登録される: フィルタートリガーで条件を設定すると、既に条件を満たしている既存レコードも登録対象になります。再登録設定とあわせて、「既存の何件が対象か」を必ず事前確認してください。
  • 分岐の直前にディレイを入れていない: 前述のとおり、分岐の直前には5分のディレイを入れるのが公式推奨です。これがないと、プロパティ更新が反映される前に分岐判定が走り、意図しない側に流れます。
  • イベントトリガーが過去のイベントに反応しない: ONにする前のフォーム送信や開封は対象外です。「ONにした直後に、過去分も流したい」と思っても流せません。
  • 数値プロパティに小数が使えない: HubSpotのワークフロー条件で扱う数値プロパティは整数のみです。スコアや金額の閾値設定で小数を入れてしまうと、想定どおりに動きません。
  • 1日10万ログを超えるとログが止まる: 1ポータルあたり1日10万ログの上限があり、これを超えるとログ記録が停止します(参照:HubSpot KB「Workflows FAQ」(2026)、ベンダー出典・確認日2026年6月時点・最新は公式要確認)。なお登録トリガーは1ポータルあたり最大250個、ログの保持は90日、登録履歴は6か月までです。
  • Professional未満では作成できない: 画面に「Workflows」自体が表示されない場合は、契約プランがStarterの可能性があります。

これらは「設定ミス」ではなく「仕様」です。仕様を知らずに動かすと事故になりますが、知っていれば回避は容易です。

最初に作るべき1本、問い合わせフォームから営業通知

理屈が分かったら、最初の1本を作ります。本稿の推奨は、問い合わせフォーム送信をトリガーにした営業通知の自動化です。理由は3つあります。効果が即可視化される(送信から通知までの数秒を体感できる)、失敗してもダメージが小さい(メール大量送信のように外部に迷惑がかからない)、そして3要素(トリガー・アクション・分岐)をすべて一周できるからです。

構成例は次のとおりです。

  • トリガー: 特定の問い合わせフォームの送信(イベントトリガー)
  • アクション1: 担当者へSlack通知または内部メール通知
  • アクション2: 担当者にフォロータスクを作成(期日:当日中)
  • アクション3: 連絡先のライフサイクルステージを「リード」または「マーケティング適格リード(MQL)」に更新
  • 分岐(任意): 5分のディレイ後、業種や地域で担当を振り分ける

問い合わせフォームの自動通知が最初の1本にふさわしい背景には、初動の速さがそのまま商談化率に効くという事情があります。リード対応速度とコンバージョンの関係は別稿「リード対応速度と商談化率」で詳しく扱っていますが、要点だけ言えば、最初の連絡が遅れるほど見込み客の関心は急速に冷めます。この1本を作るだけで、少なくとも「気づかないまま翌日になっていた」という事故はゼロにできます。

なお、HubSpotの初期構築をどう90日で組み立てるかは「HubSpotオンボーディング90日の進め方」にまとめており、本稿のワークフロー入門はその初期構築のなかでも比較的早い段階で着手する領域です。CRMの基本設定と並行して、この1本を仕上げてしまうのが現実的な進め方です。

まとめと次の一歩

最初の1本は、シンプルに作りきることが何より重要です。本稿で押さえたのは次の点でした。

  • ワークフローは3要素(トリガー・アクション・分岐)で構成され、3つの役割が頭に入れば画面で迷わない
  • 公式の7ステップに沿えば、初めてでも作りきれる
  • イベントトリガーはON以降のみ反応する、分岐前は5分のディレイ、数値は整数のみ、といった仕様を先に知っておくと事故が減る
  • 最初の1本は「問い合わせフォーム送信→営業通知+タスク+ステージ更新」が王道

作った後は、必ずログ画面で動作を確認してから本番運用に乗せてください。テスト送信で挙動を見て、想定どおりに流れているかを目視で確かめる。これを省略すると、上記の「全員が一気に登録される」事故に当たります。

最初の1本ができたら、次は何本目に何を組むかという順番の設計です。少人数の組織が最初に組むべき3本については「自動化は順番が9割。HubSpotワークフローで最初に組む3本」でまとめています。本稿はその手前、操作と概念の入門編という位置づけでした。

HubSpotの初期構築のなかで、ワークフローの最初の1本をどう設計し、その後どの順番で本数を増やしていくかを伴走する作業は、HubSpotの初期構築と営業最適化の支援で標準的に扱っている範囲です。自社の状況に合わせて、最初の1本の構成や、つまずきの回避策を一緒に整理したい場合は、無料相談からお気軽にお声がけください。

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