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リードナーチャリングとは。獲得したリードを商談につなげる進め方。

リードナーチャリングとは。獲得したリードを商談につなげる進め方。

展示会で名刺を集め、Web広告で資料請求を増やし、リードの数自体は順調に積み上がっている。それなのに、営業に渡したリストからは思うように商談が生まれない。マーケティングは「これだけ渡している」と言い、営業は「使えるリードが少ない」と言う。多くのBtoB企業で繰り返されるこのすれ違いの正体は、リードを集める力の不足ではなく、集めたあとに育てて選別する工程の不在です。その工程を指す言葉がリードナーチャリングです。本稿では、リードナーチャリングとは何かという定義から、よく混同されるリードジェネレーションやインバウンドマーケティングとの違い、なぜ今これが必要かを示す購買行動のデータ、そして実際の進め方とMA・CRMによる仕組み化までを、網羅的に整理します。

リードナーチャリングとは見込み客を育てて購買意欲を高めるプロセス

リードナーチャリングとは、獲得した見込み客と継続的にコミュニケーションをとり、信頼と興味を醸成しながら購買意欲を高めていくプロセスを指します。HubSpot Japanは、見込み客を創出する活動であるリードジェネレーションに対し、リードナーチャリングを「見込み客と継続的にコミュニケーションをとって信頼や興味を育て、購買意欲を高めていく」一連の取り組みと位置づけています(参照:HubSpot Japan「リードジェネレーションとリードナーチャリングの違い」)。ナーチャリング(nurturing)はもともと「育成」「養育」を意味する言葉で、リードナーチャリングを直訳すれば「見込み客の育成」になります。

ここで押さえておきたいのは、ナーチャリングが単独で完結する活動ではなく、リードを売上に変える一連の流れの中の一工程だという点です。BtoBの集客から受注までは、おおまかに次の4段階で進みます。

  1. 獲得(リードジェネレーション)。広告・展示会・コンテンツなどで見込み客の接点と連絡先を得る
  2. 育成(リードナーチャリング)。継続的な接点で信頼と検討度を高める
  3. 選別(リードクオリフィケーション)。育った見込み客の中から、営業が動くべき相手を見極める
  4. 商談化。選別したリードを営業へ引き渡し、商談・受注へつなげる

冒頭で触れたすれ違いの多くは、1(獲得)には力を入れているのに2と3(育成と選別)が抜け落ち、獲得したリードをそのまま営業へ流していることで起きます。育てる工程も選ぶ工程もないまま渡されたリストは、検討度がばらばらのまま営業の手元に届きます。営業が「使えない」と感じるのは当然で、これは個々の営業担当の能力の問題ではありません。リードナーチャリングは、この2段目を埋めるための考え方であり、実務の型です。

なお、育成と選別は明確に切り分けられるものではなく、育成の過程で見込み客の反応を観察し、検討が進んだ相手を選び出す、という形で連続的につながります。後述するスコアリングは、この育成と選別をデータで橋渡しする仕組みです。

リードジェネレーション・インバウンドマーケティングとの違い

リードナーチャリングを理解するうえで避けて通れないのが、リードジェネレーションおよびインバウンドマーケティングとの関係です。三つはしばしば同じ文脈で語られますが、指している範囲のレイヤーが異なります。

リードジェネレーションとの違いは「集める」か「育てる」か

リードジェネレーションとは、見込み客(リード)を創出する活動、つまり連絡先を伴う新しい接点を作り出す段階を指します。広告の出稿、展示会への出展、ホワイトペーパーの配布、ウェビナーの開催などがこれにあたります。HubSpot Japanも、リードジェネレーションを見込み客を生み出す活動、リードナーチャリングをその見込み客を育てる活動として区別しています(参照:HubSpot Japan「リードジェネレーションとリードナーチャリングの違い」)。

端的に言えば、ジェネレーションは「集める」、ナーチャリングは「育てる」です。両者は連続した工程であり、どちらが欠けても成り立ちません。集めるだけで育てなければリードは検討度の低いまま放置され、育てる対象がなければナーチャリングは始まりません。リードの数は足りているのに商談が増えないという悩みは、ジェネレーションは機能しているがナーチャリングが空白になっている状態だと読み替えられます。

インバウンドマーケティングは三者を包む大きな考え方

一方、インバウンドマーケティングは、これらより一段大きな概念です。インバウンドマーケティングとは、価値あるコンテンツと体験を提供することで顧客を惹きつけ、関係を築いていくビジネス手法を指します。HubSpotは、売り込みで顧客を追いかけるのではなく、顧客にとって価値ある情報や体験を通じて自然に引き寄せるアプローチとしてこれを定義しており、同社の共同創業者らが提唱・普及させた概念として知られています(参照:HubSpot「Inbound Marketing」)。

整理すると、インバウンドマーケティングは「価値あるコンテンツで顧客を惹きつけ、長期的な関係を築く」という思想・方針にあたる大きな枠組みです。その枠組みの中で、見込み客を集める実行段階がリードジェネレーションであり、集めた見込み客を育てる実行段階がリードナーチャリングだと捉えると、三者の関係が見通しやすくなります。インバウンドが目的地と地図、ジェネレーションとナーチャリングがそこへ向かう具体的な移動手段、というイメージです。

この区別が実務で効いてくるのは、施策を評価するときです。たとえばブログやウェビナーは、新規接点を生む点ではジェネレーションの施策ですが、既存リードへ継続的に届ける点ではナーチャリングの施策にもなります。同じ施策でも、それを「集めるため」に使っているのか「育てるため」に使っているのかを意識して設計すると、どの工程に投資が偏っているかが見えてきます。

なぜリードナーチャリングが必要か、購買行動のデータで見る

リードナーチャリングが必要な理由は、BtoBの買い手の購買行動そのものに根ざしています。ここでは二つのデータを通して、その必然性を確認します。

今すぐ買う相手は約5%にすぎない

一つ目は、買い手のうち「今この瞬間に買う段階にいる人」がごく一部にすぎないという事実です。豪州のエレンバーグ・バス研究所とLinkedIn B2B Instituteの研究で知られる「95:5の法則」は、BtoBでは企業が製品やサービスを乗り換えるのが平均しておよそ5年に一度であり、ある時点で実際に購入を検討している(イン・マーケットの状態にある)買い手は全体の約5%にとどまる、残りの約95%は今は買わない層だと指摘しています(参照:Ehrenberg-Bass Institute / LinkedIn B2B Institute「95% of B2B buyers are not in the market for your products」)。

この数字が示すのは、獲得したリードの大半は、接点を持った時点ではまだ買う段階に入っていないということです。にもかかわらず、今すぐの商談を前提に営業がアプローチすれば、95%の側にいる見込み客には「しつこい」と受け取られ、関係そのものが切れてしまいます。だからこそ、今は買わない95%とのつながりを長期にわたって維持し、その中から検討段階へ移った相手を逃さず捉える仕組みが要る。これがリードナーチャリングの存在理由の核です。

検討が立ち上がった瞬間の初動は桁違いに効く

二つ目は、では95%のうちの誰かが検討段階に立ち上がったとき、何が成否を分けるのかという問いに関わります。マサチューセッツ工科大学のジェームズ・オールドロイド氏らによる2007年の古典的な研究は、Webから入ってきたリードへの接触の速さがその後の成果を大きく左右することを示しました。同研究によれば、リードの発生から5分以内に接触した場合と30分後に接触した場合を比べると、相手に接触できる確率は約100倍、見込みありと判定できる確率は約21倍に達したと報告されています(参照:Lead Response Management「Lead Response Management Study」(2007))。

この二つのデータは、一見すると逆方向の示唆に見えます。片方は「大半の相手は今は買わないのだから長く育てよ」と言い、もう片方は「立ち上がった瞬間の数分が勝負だ」と言う。しかし両者は矛盾しません。むしろ、BtoBのリード対応には性質の異なる二つの設計が同時に必要だということを示しています。今は買わない約95%に対しては、年単位で関係を保ち続ける長期育成の設計を。検討が立ち上がった瞬間の相手に対しては、分単位で初動を打つ即応の設計を。

「リードは渡しているのに商談化しない」会社に欠けているもの

ここからがRespectifyの実務視点です。私たちが営業・マーケティングの支援に入ると、「リードは渡しているのに商談にならない」という相談の多くで、この二つの設計のどちらか、あるいは両方が欠けています。

長期育成の設計が欠けている会社では、獲得したリードを一度アプローチして反応がなければ、そのまま放置します。約95%は今は買わないのですから、一度の接触で反応がないのは当たり前で、その大半は将来の顧客になり得る相手です。にもかかわらず接点を絶ってしまえば、彼らが検討段階に立ち上がったとき、最初に思い出されるのは関係を保ち続けた競合になります。

即応の設計が欠けている会社では、せっかく検討段階に入った相手からの問い合わせを、半日や翌日まで放置します。MIT研究が示す5分と30分の差は、立ち上がった瞬間の数分でリードの価値が急速に目減りすることを意味します。この応答スピードの問題は別稿「リードに5分以内に対応できる会社は1%未満」で実測調査をもとに詳しく扱っているので、自社の応答時間に不安がある場合はあわせてご覧ください。

つまり「リードを渡しているのに商談化しない」という現象は、渡す側と受ける側の能力の問題であるより前に、95%向けの育成と5%向けの即応という二つの設計が組み込まれていない構造の問題です。リードナーチャリングは、このうち長期育成の側を担う仕組みであり、即応の設計とセットで初めて機能します。

リードナーチャリングの進め方、標準の型

リードナーチャリングの進め方には、業種を問わず通用する標準の型があります。セグメント、シナリオ設計、スコアリング、営業への引き渡しの四つの工程です。ここでは中堅規模のBtoB企業が現実的に着手できる粒度で順に解説します。

工程1、セグメントで配信対象を分ける

最初の工程は、保有するリードを意味のあるかたまりに分けることです。検討度も興味の対象も異なる相手に同じ内容を一斉配信しても、響きません。最小限で始めるなら、まずは検討段階の軸で三つに分けるのが扱いやすい区切りです。

  • 新規リード。資料請求や問い合わせなど、直近で接点ができた相手
  • 休眠リード。過去に名刺交換や問い合わせがあったが、その後接点が途絶えている相手
  • 既存顧客・商談中。すでに取引や商談が進行している相手

このうちナーチャリングの主戦場は、新規リードと休眠リードです。前者には導入初期の検討を後押しする情報を、後者には再び関心を持ってもらうきっかけとなる情報を届けます。

工程2、シナリオを設計して接点を組み立てる

次に、各セグメントへ「何を、どの順番で、どの間隔で」届けるかというシナリオを設計します。シナリオとは、見込み客の検討段階の進み方を想定し、それに沿って情報提供の流れをあらかじめ組み立てたものです。たとえば資料請求した新規リードに対して、数日後に関連事例を、その数日後に活用のヒントを、さらに後に比較検討に役立つ情報を、という具合に段階的に届けます。

ここで重要なのは、シナリオの中身を売り込みに寄せすぎないことです。前述のとおり大半の相手はまだ買う段階にないため、販促一辺倒の配信は関係を損ないます。検討に役立つ情報を中心に据え、購買意欲が高まった相手が自然に次の行動へ進める設計が望ましいといえます。シナリオの具体的な組み立てや配信内容の作り分けは、その多くがメール施策として実装されます。メールを軸にしたシナリオ設計の考え方は別稿「メールは今も主力チャネル」で扱っています。

工程3、スコアリングで検討度を可視化する

シナリオを回しながら、見込み客一人ひとりの検討度を数値で捉えるのがスコアリングです。スコアリングとは、見込み客の属性(業種・役職・企業規模など)や行動(メールの開封、リンクのクリック、特定ページの閲覧、資料の再ダウンロードなど)に点数を割り当て、その合計で購買の見込み度合いを表す手法です。

スコアリングの目的は、育成の過程にある大量のリードの中から、検討段階へ立ち上がった相手をできるだけ早く見つけ出すことにあります。約95%の中の誰かが5%の側へ移ったその瞬間を、勘ではなく行動データで捉える。これが、長期育成と即応をつなぐ橋になります。スコアの設計に正解はなく、自社の受注顧客がどんな行動を経ていたかを振り返りながら、運用しつつ調整していくのが現実的です。

工程4、ホットリードを営業へ引き渡す(MQLとSQL)

最後の工程は、スコアが基準に達したリード、いわゆるホットリードを営業へ引き渡すことです。ここで登場するのがMQLとSQLという区分です。MQL(Marketing Qualified Lead)はマーケティングが「営業へ渡してよい」と判断した見込み客、SQL(Sales Qualified Lead)は営業が引き受けて商談として進めると判断した見込み客を指します。

この引き渡しの工程は、冒頭で触れた営業とマーケティングのすれ違いがもっとも顕在化する地点でもあります。何点をもってMQLとするか、どんな条件を満たせば営業が引き受けるかという基準が両部門で合意されていないと、せっかく育てたリードが渡しても放置されたり、逆に育っていないリードが押し込まれたりします。MQLとSQLの基準合意は、リードナーチャリングの成果を左右する要であり、別稿「営業へ渡すリードの条件を揃える」で詳しく扱っています。育成の出口がこの合意です。

MA・CRMとの関係、ナーチャリングを仕組み化する

リードナーチャリングを継続的に回すには、MAとCRMによる仕組み化がほぼ前提になります。手作業で数百から数千件のリードのセグメント分け、シナリオ配信、スコア計算を回し続けるのは現実的ではないからです。

MA(マーケティングオートメーション)は、セグメントへのシナリオ配信やスコアリングを自動化するツールです。条件に応じて配信を出し分け、見込み客の行動に点数を加算し、スコアが基準に達したら担当者へ通知する、といった一連の動作を自動で実行します。一方、CRM(顧客管理システム)は、見込み客や顧客の情報、商談の進捗、対応履歴を一元管理する基盤です。

両者が連携していることが、ナーチャリングの成果を測るうえで決定的に重要になります。MAが育てたリードをCRMの商談データとつないで初めて、「どのシナリオで育ったリードが、何件の商談になり、いくら受注したか」を追えるようになります。逆に、MAとCRMが分断されていると、配信の開封率やクリック率までは見えても、それが商談や売上にどう結びついたかは見えません。ナーチャリングの効果が「なんとなく良さそう」の域を出ないとしたら、原因の多くはこの分断にあります。

ここで再びRespectifyの実務視点です。「リードは渡しているのに商談化しない」会社を支援する際、私たちが最初に点検するのは、ナーチャリングの巧拙そのものよりも、育てたリードが営業へ引き渡される条件と経路です。具体的には、次の三点を仕組みとして設計できているかを見ます。

  • 引き渡し条件。MQLとSQLの基準が両部門で合意され、スコアや行動条件として明文化されているか
  • 引き渡し経路。基準に達したリードが、自動で正しい担当者へ通知・割り当てされるか
  • 対応SLA。引き渡されたリードに、営業がいつまでに初動を打つかという社内基準(SLA)が定められているか

この三点が抜けていると、どれだけ精緻にナーチャリングを設計しても、出口で目詰まりを起こします。育てたリードが営業の受信箱で埋もれ、誰が対応するか決まらないまま検討段階のリードが冷めていく。MIT研究が示した初動の数分の重要性は、まさにこの引き渡しの瞬間に効いてきます。ナーチャリングは育てて終わりではなく、育てたリードを正しい相手へ正しいタイミングで渡し切るところまでが設計範囲です。獲得から育成、選別、商談化までを同一のCRM基盤で一気通貫につなぐ設計は、Respectifyのリード獲得から育成までの支援で中心的に扱う領域の一つです。

まとめ

  • リードナーチャリングとは、獲得した見込み客と継続的にコミュニケーションをとり、信頼と興味を育てて購買意欲を高めるプロセスです。BtoBの集客から受注までを獲得・育成・選別・商談化の4段階で捉えると、ナーチャリングは2段目を担います。
  • リードジェネレーションは「集める」、リードナーチャリングは「育てる」段階で、両者は連続した工程です。インバウンドマーケティングはこれらを包む大きな考え方で、価値あるコンテンツで顧客を惹きつける思想にあたります。
  • 必要性の根拠は買い手の行動にあります。今すぐ買う段階の相手は約5%にとどまり、約95%は今は買わない層です。一方で検討が立ち上がった瞬間は、5分以内と30分後で接触確率が約100倍、適格化確率が約21倍と初動が桁違いに効きます。95%向けの長期育成と5%向けの即応、この二つの設計が両方必要です。
  • 進め方の標準の型は、セグメント、シナリオ設計、スコアリング、MQL・SQLによる営業への引き渡しの4工程です。育成の出口は、両部門が合意した引き渡し基準にあります。
  • 継続運用にはMAとCRMの連携が前提です。両者がつながって初めて、ナーチャリングが商談・受注にどう結びついたかを測れます。

リードナーチャリングの成果を最終的に分けるのは、個々の施策の出来栄えよりも、獲得から育成、選別、商談化までを一気通貫の設計にできているかどうかです。リードは集まっているのに商談につながらないという課題に心当たりがある場合、ナーチャリングの中身を磨く前に、まず獲得から商談化までのつながりを点検することをおすすめします。自社のリード育成と引き渡しの設計を一度見直したい方は、無料相談からお気軽にお声がけください。

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